陥りがちなプロジェクトの落とし穴と改善点(その1)

しばらくぶりの更新となります。というのは、ひどいプロジェクトに参画していたため、更新する時間がほとんどなかったためです。

という事で、何回かに分けて、ひどいプロジェクトになる原因と、その改善点をいくつか挙げてみたいと思います。

なお、これは特定の個人を中傷するものではなく、単純なプロジェクトとしての良し悪し、誤ったやり方を見直す機会・一意見としてご覧頂ければと思います。

マネージメント


プロジェクトにおいて、納期が厳しいという事は多々あります。金額的な原因だったり、営業的な原因だったりしますが、ここではそれは横に置いておきます。
こういった場合に、どれだけスムーズにプロジェクトを進行させるか、というのが大きな課題になります。
今さら声高に言う必要もないと思いますが、上流工程での遅延は、下流工程で挽回するという事は不可能です。上流工程で見つけ出せなかった粗は、下流工程で大きな穴となり、それを塞ぐためには、より大きな時間と労力が必要になります。

では上流工程で全てを見つけ出す事が可能かというと、必ずしも可能ではありません。発注側にIT部門があるならば、業務を行う方との連携期間が長く、不満の元になっている事や、必要としている要件を探し出す事が比較的容易ですが、そうでない場合、発注側はITシステムへの理解は当然低く、ヒアリングや要件定義の際に出て来ないものが後から出て来るという事は良くあるからです。
そのため、この遅れの構図はあちこちで散見されます。

これをどのように改善するかというのが、PMの技量だと思います。業務をマクロで見るだけでなく、ミクロでも観察し、俎上に上げる必要があります。また、一時的ではなく、継続的にそれらを行い、発注者が気が付いていない、もしくは常識と考えられていて、挙げられていないものを掘り起こす事が重要です。

プロジェクトの全体を俯瞰し、進捗が進んでいるところ、遅れているところ、今後躓きそうなところを把握し、人員やタスクの振り分け、問題が発覚する前に動く事が重要だと考えます。問題が発覚した後では、その問題を解決するための時間や労力は、限定的にしか使えず、その場で解決できない場合も多いため、全体の進捗を止めてしまう事に繋がります。事前に50%でも調査が行われていれば、リカバーする為の時間は半分で済む事になります。

設計


もう一つ、プロジェクトの良し悪しを決定する大きな要因が設計です。これも敢えて声を大きくする必要もない、当然のことなのですが、設計する能力や経験のない人が行うと、いくら単純なはずのシステムでも、大きな工数や無駄な苦労、プログラム的に見て非効率的な処理をする事になります。

「この人が作った設計では、もうやりたくない」と考えた事は、誰でもあるんじゃないでしょうか?

また、資料への記載はあるが、必要な場所に必要な情報が記載されていない、という事もあります。例えば、特定の処理を行う際のロジックが、別の資料の片隅に書かれていたり、本来書かれるべき欄に書かれていないなどです。こういった場合、資料を作った側も、見る側も不幸になります。無駄なメールや打ち合わせで時間を浪費し、意思の疎通を邪魔する結果になります。

また、こういった経験はないでしょうか?

「仕様書(Excel)を開いたら、こちらの画面解像度が低くて、全体を俯瞰出来ない。作成者の環境を聞いてみたら、フルHDのディスプレイをデュアルで使っていた。」
「誤字脱字だらけ」
「必要な機能についての記載があるが、画面設計書やモックに存在しない」
「とりあえずvarchar(255)」

こういった抜かりのある資料というのは、往々にして存在し、資料の更新は置き去りにされ、製品作成後に(運が良ければ)更新されます。

なぜこんな事が起きてしまうのでしょうか?それは「とりあえず」の意識が根底にあるように思います。時間的な制約も大きいと思いますが、これは全てに使えてしまう「魔法の言葉」なので、ここでは除外します。
この「とりあえず」という意識は、結果的に雑な設計・資料になり、後々まで禍根を残す事になります。例えば、(将来の自分を含む)他人が見ても読み取れない、誤りを引きずるなど、後々まで残す原因になります。

また、こういった実装と異なる資料は、納品されない事も多々あるので、現在動いているシステムの改修を別会社が行おうとした場合に、まずは解析から行う必要があるなどの弊害も発生します。

「とりあえず」という意識の下にあるのは、要件が出揃っていない、要件を理解していない、という事も往々にしてありますが、それよりも大きな原因として、「伝える事を前提にしていない意識」「適切なツールを使っていない」事に起因していると考えられます。

長くなってきたので、この2点については後日まとめてみます。

最後に


さて、マネージメントと設計について見て来ましたが、この両者がしっかりしていれば問題ありませんが、私の感覚として、このどちらかがしっかりしていれば、何とかプロジェクトは進むと考えています。
友人に話したところ「マネージメントがしっかりしていれば、設計もしっかりするでしょ」と意見を貰いましたが。

資料やマネージャーは、プロジェクトを進める中で、それ無しでは進める事ができない大切なものです。発注する側もされる側も、これらに気をつけて良いプロジェクトにして頂ければと思います。